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訴 状
令和3年3月9日
東京地方裁判所 御中
原告訴訟代理人弁護士 岩 本 拓 也
〒■■■-■■■■
■■■■■■■■■■■■
原 告 ■■■■■■■■■
〒170-0005
東京都豊島区南大塚3-12-7 第一山崎ビル3階
東京あかつき法律事務所(送達場所)
原告訴訟代理人弁護士 岩 本 拓 也
電 話 03-6914-3562
FAX 03-6914-3563
〒■■■-■■■■
■■■■■■■■■■■■
被 告 ■■■■■■■■■
〒135-8383
東京都江東区東陽4-11-28
被 告 江 東 区
上記代表者区長 山 﨑 孝 明
〒163-8001
東京都新宿区西新宿2-8-1
被 告 東 京 都
上記代表者都知事 小 池 百合子
損害賠償請求事件
訴訟物の価額 300万円
ちょう用印紙額 2万円
第1 請求の趣旨
- 被告らは、原告に対し、連帯して金300万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。
- 訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決を求める。
第2 請求の原因
1 当事者
(1)原告
原告は、■■■■年■■月■■日生まれの男性であり、■■■■年■■月■■日に被告・■■■■■■(以下「被告■■■」という。)と婚姻し、■■■■年■■月■■日に長男・■■■■■(以下「長男」という。)を授かった者である。
(2)被告■■■
被告■■■は、■■■■年■■月■■日生まれの女性であり、(1)記載のとおり、原告と婚姻し、長男を出生した者であるが、令和元年9月9日に原告とその両親を欺き長男を連れ去り別居を強行した者である。
(3)被告東京都
被告東京都は、普通地方公共団体であり、城東警察署長及び警視庁城東警察署(以下「城東署」という。)の署員(以下「城東署員」という。)らは、いずれも被告東京都の公権力の行使にあたる公務員である。
(4)被告江東区
被告江東区は、特別地方公共団体であり、江東区長及び江東区の職員(以下「江東区職員」という。)らは、いずれも被告江東区の公権力の行使にあたる公務員である。
2 本件事案の概要
令和元年9月8日午前3時ころ、被告■■■は、家計と長男の養育に関する口論の末に原告から「出ていけ」と言われただけであるにもかかわらず(原告からの暴力はなかったにもかかわらず)、110番通報をし城東署員3名を原告宅に臨場させた。
現場に臨場した城東署員らは、原告と被告■■■とのトラブルを回避するのに特に長男を被告■■■と共に避難させる必要性がないにもかかわらず、「長男を置いて行くように」にとの原告の訴えを聞き入れず、被告■■■と長男を一旦原告実家に避難させた。その際、城東署員は、被告■■■がDV被害者ではないにもかかわらず、被告■■■に対してシェルターへの避難を勧めていた。
その結果、原告は、自身の代理人弁護士及び被告■■■の代理人弁護士を介して12月28日に長男と面会するまでの約4か月間、一切長男と関わることが出来ない状態となり、その親権(そこに含まれる監護権)あるいは人格権の一つたる父親として長男を養育する権利を侵害されたものである。
3 被侵害利益について
(1)令和元年9月9日当時、原告と被告■■■とは未だ夫婦であり(現在もなお離婚はしていない)、原告もまた長男の親権者であるにもかかわらず、被告らは、長男を原告と分離することについて原告の同意を得ることなく長男の連れ去りを完遂した。
民法は、親権者に、子の監護及び養育をする権利(820条)を付与するほか、子の居所の指定(821条)をする権限を付与していることから、被告らの行為は、上記を包含する原告の親権を侵害するものである。
(2)また、親子の関りは、子にとっては、親からの養育を受け、親との間で密接な人的関係を構築しつつ、これを基礎として人格形成及び人格発達を図り、健全な成長を遂げていき、親にとっても、子を養育し、子の受容、変容による人格形成及び人格発展に自らの影響を与え、次代の人格を形成することを通じ、自己充足と自己実現を図り、自らの人格をも発展させるという関係にあることに鑑みれば、親である父又は母による子の養育は、子にとってはもちろん、親にとっても、子に対する単なる養育義務の反射的効果ではなく、独自の意義を有するものということができ、そのような意味で、子が親から養育を受け、又はこれをすることについてそれぞれ人格的な利益を有することができる(甲1 25頁)。
それゆえ、原告が長男を養育する権利は、人格権の一つとして法の保護に値するものであるから、被告らは、このような原告の人格権を侵害するものである。
4 被告■■■による加害行為
令和元年9月8日午前3時24分、被告■■■は、自身が原告に内緒で被告■■■の実家に送金したこと及び長男の養育のことで口論になり、原告から「出ていけ」旨言われたことのみをもって、原告からの暴力がないことを十分に認識しつつ、110番通報した(甲2、甲3 10頁)。
そして、原告宅(原告住所)に臨場した城東署員に対し、平成26年秋頃と平成30年12月に原告から暴力を振るわれたとの虚偽の申告を行った。
その結果、上記城東署員をして、一旦原告と離れるよう教示せしめ、長男を連れて原告の実家に行った(甲3 10頁)。原告の実家に行くにあたり、被告■■■は、原告の母に電話をし、「別にね、(原告から)暴力されたとかじゃないんだよ。そこ心配しないでほしいんだけども。」「とにかく■■をちょっとしばらく預かってもらって、」「実家に帰らなきゃいけなくなりそうでね。」と述べ(甲4の2 2頁)、原告からの暴力がなかったこと、長男を原告両親に預け自身は実家に帰ること、を明確に告げていた。
それゆえに、原告の両親は、被告■■■を不憫に思い、長男を預かり被告■■■を実家で静養させようとし、早朝に原告宅まで被告■■■と長男を迎えにきたのである。
同日午前9時ころ、被告■■■は、原告からのDVがないにもかかわらず、江東区役所の「DV相談窓口」に電話をかけ、担当者たる江東区職員をして「明日子供を連れて、江東区役所に来てください」「実母に子供を会わせて安心させたい、などと嘘をついてでも、子供を確実に連れてきてください。」と言わしめた(甲3 11頁)。
そのうえで、被告■■■は、翌9月9日、原告の両親と食事をした後、江東区職員との打ち合わせのとおり、原告の父に対し「母に子供を会わせて安心させたい。」と嘘をついて原告両親を欺き、上記原告両親の思いを踏みにじり、自身と長男を原告の父に錦糸町駅まで車で送らせた挙句、自身の実家には向かわずバスで江東区役所に行った。
その際も、被告■■■は、被告江東区福祉事務所保護第一課の相談員である■■氏に対し、「自分がDVの被害者である」旨の虚偽の申告をし、結果、■■氏をしてシェルター保護相当と判断せしめたものである(甲3 11頁、甲5 7枚目から10枚目)。
その後、被告■■■は、シェルター入所のため、城東署員2名を同行させて原告宅に長男のおむつや着替え等を回収し、城東署において原告からの捜索願不受理の手続きを行った後、江東区職員である■■氏の同行により、長男と共にシェルターに入所した(甲3 11~12頁)。
これにより、被告■■■は、原告において長男の居場所を一切探索できない状況を作り上げて原告と長男との関係を途絶させ、原告の親権ないし愛する長男を養育するという原告の人格権を侵害した。
上記一連の行為において、被告■■■は、一貫して、自身がDV被害者であるとの虚偽の申告をし、自身のみならず長男と原告の関係を途絶させることを目論んでいたものであるから、被告■■■による原告の権利侵害行為は明らかに故意によるものである。
なお、被告■■■は、その後千葉家庭裁判所松戸支部において面会交流実施の取り決めがなされたにもかかわらず、虚偽DVによる長男の連れ去りという自身の違法行為を棚に上げ、原告の非違を論い、令和2年11月以降、長男を原告に面会させておらず、今後一切の面会交流を拒否すると述べ(甲5 4頁)、原告の親権ないし人格権を永遠に侵害し続けると宣言した。
5 被告東京都による加害行為
(1)違法性
ア 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(以下「DV保護法」という。)第8条の2は、警察本部長等の援助として、被害者からの援助の申出を相当と認めるときには当該被害を自ら防止するための措置の教示その他配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な援助を行う旨を定めている。
そして、同法第6条によれば、第8条の2に定める「配偶者からの暴力」とは身体に対する暴力に限るとされているから、警察本部長等の援助は、身体に対する暴力の被害者による援助の申出があった場合に限られている。
イ そして、警察本部長等が行う援助の内容は、配偶者からの暴力等による被害を自ら防止するための警察本部長等による援助に関する規則により具体化されており、「当該申出者の状況に応じて避難その他の措置を教示すること」(第1条1号)、「当該申出者の住所又は居所を知られないようにすること」(第1条2号)等がその内容として示されている。
ウ 令和元年9月8日に原告宅に臨場した城東署員(生活安全課少年係■■■氏ほか1名、■■■■■交番署員■■■■氏ほか2名)は、その当日に被告■■■が原告から身体に対する暴力を受けていなかったにもかかわらず、被告■■■に対し、「長男を連れての原告実家への避難」を教示し、その際に「明日にはホテルなりシェルターなりに避難してください」とも教示し(甲3 11頁)、原告からの捜索願不受理の措置を行い、かつ、被告江東区の配偶者暴力支援センター(江東区福祉事務所保護第一課)との連携により、被告■■■及び長男のシェルター入所を実現させ、もって、原告と長男の関係を途絶させた。
エ すなわち、城東警察署長及び城東署員らは、被告■■■がDV保護法第8条の2に定められる被害者ではなく援助の要件を欠いているにもかかわらず、これを援助し、もって、原告の親権ないし人格権を侵害したものでるから、違法である。
オ この点、DV保護法上の運用上の留意事項についてと題する警察庁から各都道府県警察の長等に対する通達(甲6)によれば、DV被害者として警察本部長等の援助の対象とするのは、「身体に対する暴力を受けた者」とこれに準じる者として「生命等に対する脅迫を受けた者」であるとしており(2頁)、DV保護法第6条及び8条の2に定められる「配偶者からの暴力」の定義を拡大しているが、これにより原告のように親権ないし人格権を侵害される者が増加することが明白であるから、上記通達もまた違法である。 仮にこの通達が適法であったとしても、令和元年9月8日の出来事として城東署員が認識し得たのは、原告と被告■■■が口論となり、原告が被告■■■に「出ていけ」と言ったことのみであり、これをもって被告■■■を「生命等に対する脅迫を受けた者」とすることは不可能である。あるいは、「平成26年秋頃、片手で私の首を真正面から掴み、数秒間強い力で絞め、私の目を真っ直ぐ見ながら『俺の言うことに逆らうな。』と言われた」「平成30年12月、長男を抱いている私の横に回り込み、私の体を思いきり押したため、長男を抱いたまま椅子ごと床に倒れた」との被告■■■の一方的申告(甲3 10頁から11頁)に耳を貸したとしても、何の裏付けもない9か月以上も前の出来事の申告をもって被告■■■を「身体に対する暴力を受けた者」あるいは「生命等に対する脅迫を受けた者」とすることもまた不可能である。
結局、上記通達(甲6)を仮に適法としても、城東警察署長及び城東署員らが被告■■■に行った援助は違法と言うほかない。
カ なお、城東署員らは、被告■■■と共に長男も原告実家に避難するよう教示したが、それまで長男は原告と二人で就寝していたものであり、長男を原告と分離避難させる理由は皆無である。このこと自体、法に何ら定めのない越権行為であり、これにより原告と長男の関係が途絶するという重大な権利侵害が生じていたことに鑑みると、違法と言わざるを得ない。
(2)過失
ア DV保護法第8条の2は被害者からの援助の申出を相当と認めるときに援助を行うものとしており、援助を行うための相当性判断を警察本部長等に課している。このことは、援助の実施により、「加害者」とされた者が愛する我が子との関係を途絶され親権ないし人格権を侵害されるという重大な効果を伴うものであることに鑑みれば当然のことである。
それゆえ、警察本部長等には、相当性を判断し援助を実施するにあたっての職務上の注意義務として、加害者とされる者やその関係者から事情聴取を行い、司法判断の有無等の事実確認を行う義務がある。
しかしながら、城東警察署長及び城東署員らは、令和元年9月8日の出来事については原告に事情聴取をし誓約書(甲7)まで書かせて身体暴力がないことを確認したものの漫然援助を実施し、被告■■■申告による平成26年秋頃と平成30年12月の暴力について原告に事情聴取をし原告がこれらを否定したにもかかわらず、原告以外の関係者に対するさらなる事情聴取もせず、当時の被害届や診断書の有無確認も行わず、漫然被告■■■の一方的申告のみを根拠として援助申出相当と判断しており、上記注意義務を怠ること著しい(なお、被告■■■のシェルター入所後、原告の申立により千葉家庭裁判所松戸支部にて子の監護者指定及び子の引渡し審判が行われ、そこにおいても被告■■■は平成26年秋頃と平成30年12月の原告による暴力を主張したが、それを裏付ける証拠は提出されなかった。)。
さらに、長男を被告■■■と共に避難するよう教示したことについては、長男と原告の愛着関係について原告の両親や被告■■■の母親等に聴取を行えば、長男を避難させる必要性は皆無であることが容易に分かったにもかかわらず、城東警察署長及び城東署員らは、これを漫然行わなかったものであるから、この点自体も重大な過失と言わざるを得ない。
イ したがって、城東警察署長及び城東署員らは、職務上の注意義務を漫然怠ったまま被告■■■の援助申出を相当と判断し援助を実施したものであり、重大な過失がある。
(3)小括
以上の次第で、原告は、城東警察署長及び城東署員の違法な公権力の行使により、その親権ないし人格権を侵害されたものである。
6 被告江東区による加害行為
(1)違法性
ア 被告江東区福祉事務所保護第一課(以下「保護第一課」という。)(相談員■■氏)は、DV保護法第3条第3項3号に基づき、緊急時における安全の確保及び一時保護として被告■■■と長男をシェルターに入所させたものと思われる。
そして、同条項号にいう「被害者」には「身体暴力に準じる心身に有害な影響を及ぼす言動」を受けた者も含まれるとされる。
イ 被告■■■について
(ア)令和元年9月8日の出来事について
被告■■■が自白するとおり、この日に原告による身体暴力がなかったことは明白である。そして、この日の原告の被告■■■に対する言動は、「実家に帰って金銭面での相談をするよう」出ていけというものにすぎず、金銭面での口論という原因あっての発言であるから、到底「身体暴力に準じる心身に有害な影響を及ぼす言動」と言えるものではない。
(イ)平成26年秋頃及び平成30年12月の出来事について
被告■■■の申告によれば、「平成26年秋頃、片手で私の首を真正面から掴み、数秒悪寒強い力で絞め、私の目を真っ直ぐ見ながら『俺の言うことに逆らうな。』と言われた」「平成30年12月、長男を抱いている私の横に回り込み、私の体を思いきり押したため、長男を抱いたまま椅子ごと床に倒れた」ということになっている。
しかしながら、これは、被害届も診断書等の客観的資料は何もなく、かつ、原告が明確に否定していることを被告■■■が一方的に申告したものにすぎないから、これをもって「身体暴力」や「身体暴力に準じる心身に有害な影響を及ぼす言動」と言うこともまた、不可能である。
(ウ)したがって、保護第一課が被告■■■を一時保護したことは、その要件を欠く行為として違法である。仮に、保護第一課が城東警察署長に被告■■■からの援助申出書が出されていることから被告■■■を保護したとしても、既述のとおり、城東警察署長が援助申出を相当と認めたこと自体が違法なのであるから、被告江東区の違法性が減殺ないし阻却されるものでもない。
保護第一課は、城東警察署長と連携してことに当たるものではあるが、実際に施設を提供し保護を実施するにあたり、DV保護法の要件を満たすか否かについて独自に判断すべきものであるから、その判断を誤り保護実施に至ったことは違法と言わざるを得ないのである。
(エ)あるいは、保護を行う「緊急性」の要件を満たしているかについて検討しても、令和元年9月8日の出来事は身体暴力もなく原告の言動も原因あってのものであり原告が理由もなく出ていけと言っていたものではないから、シェルター保護を行うほどの緊急性は認められない。このことからも、保護第一課による保護実施は「緊急性」要件を欠く違法なものと言わざるを得ない。
ウ 長男について
あまりにも当然のことながら、原告が長男に対する身体暴力を行ったこともなく、身体暴力の準じる心身に有害な影響を及ぼす言動に及んだことも毛頭なく、むしろ原告と長男の愛着関係は良好であり、令和元年9月8日に城東署員が臨場した際も原告と長男は共に寝室で寝ていたものであるから、長男は「被害者」ではあり得ず、保護すべき「緊急性」も皆無である。
それゆえ、保護第一課による長男のシェルター保護は、その要件を欠くもので違法である。
なお、被告■■■申告による「長男を抱いたまま椅子ごと床に倒れた」ことの信憑性が甚だ低く、かつ、9か月も前の出来事であることから緊急性の問題すら生じない。にもかかわらず、保護第一課相談担当者は、被告■■■に「明日子供を連れて、江東区役所に来てください」「実母に子供を会わせて安心させたい、などと嘘をついてでも、子供を確実に連れてきてください。」と言った(甲3 11頁)。
要件欠缺にもかかわらず被告■■■を信じていた原告両親を欺いて長男を連れて来ることを告げる神経は理解し難いものであり、悪質極まりない。この相談員は、原告家族を崩壊させることが目的であったのではないかとの疑いすら生じてしまう。ここに、虚偽DVによる被害が後を絶たない根源がある。
(2)過失
ア DV保護法第3条第3項3号は、「被害者」要件と「緊急性」要件を課していることから、その要件を満たすかを判断し保護を実施するにあたり、被告江東区は職務上の注意義務を負う。
シェルター保護という原告と長男の関係途絶という重大な効果を生ぜしめる以上当然のことである。そして、注意義務の内容は、城東警察署長と同様、原告やその関係者への聴取を行い、あるいは司法判断の有無等の事実確認を行うことである。
にもかかわらず、保護第一課は、原告やその両親等に対する事情聴取すら行っておらず、これらの者と一切没交渉としたうえで被告■■■と長男をシェルター保護している。
すなわち、保護第一課は、被告■■■からの一方的「DV」申告(甲5 10枚目)のみを漫然信用し(城東警察署が行った援助はそもそも違法であるからこれを信用したとの弁解はあり得ない)たものであり、被告江東区には上記注意義務を怠った重大な過失がある。
イ 仮に、令和元年9月9日のシェルター保護は緊急性を過大視して上記注意義務を尽くす時間的余裕がなかったというのであれば、被告江東区のその後の動きに着目すべきであろう。すなわち、被告江東区は、9月9日にシェルター保護した3日後である12日、シェルターからアパート(綾瀬荘)への転居を支援する措置に及んでいる(甲5 7枚目から10枚目)。そして、その際もなお「夫のDV」という被告■■■の一方的申告のみを根拠としており、最初のシェルター保護からの3日間にも全く既述の注意義務を尽くした形跡がない。
被告江東区の過失は疑いようのないものである。
(3)小括
以上の次第で、原告は、被告江東区の違法な公権力の行使により、その親権ないし人格権を侵害されたものである。
7 原告の損害
当時2歳でありこれからの時期こそ親との愛着形成を深めていく年齢の長男との関係を途絶させられた原告は、長男と過ごすべき貴重な時間を失ったものであり、この時間は永遠に取り戻すことが出来ない。ゆえに、原告の損害は金銭で評価できないほど重大なものであるが、敢えて金銭評価するのであれば、原告を慰藉するに少なくとも300万円は必要である。
8 被告らの関係
主観的に原告と長男との関係を途絶させることを共謀していたものではないが、各々の立場で客観的に関連共同して原告の権利を侵害し損害を与えたものであるから、共同不法行為を成立させるものである。
7 虚偽DVの実態
(1)警察や行政が介入しての「子の連れ去り」は、昨今社会問題化しつつあり、各種メディアでも取り上げられているが、その一つである書籍(甲8 40頁~44頁)によれば、「DVの被害者」であることを訴える方法として公正な手続きとしてまず考えられるDV保護命令申立事件において裁判所が出す保護命令は年間2000件余(取下げ、却下率は20%)であるのに対し、行政によるDV等支援措置は横浜市だけでも年間1515件であり(全国統計になれば膨大な件数となりそれだけDV冤罪を行政が量産していることは由々しき事態である)却下率は0.5%となっている。
司法による手続きによれば主張立証を求められ相手方に反論機会が与えられるため、実際にDV被害を受けておらず簡単に父子断絶を実行したい者にとっては、ほぼ100%の確率でDV等支援措置がなされる行政によるほうが都合がよいのである。
(2)そして、警察や行政による無責任な援助や保護がいかなる悲劇を生むかは十分に理解されるべきである。
片親たる原告との分離による長男の心理を探求すれば、「誕生後1歳半から2歳頃までの乳児期は、一般的には両親との愛着関係を形成する重要な時期であり、基本的信頼関係が育まれる時期と考えられて」おり、「別居親から十分に養育的関与を受けられない場合には、その親との愛着は形成され」ないという(甲9 135頁)。
被告江東区によるシェルター保護時、長男は2歳であり、まさに、両親との愛着関係を形成すべき重要な時期であり、原告から十分に養育的関与を受けられない場合には、原告との愛着は形成されなくなってしまう。
一方で長男と分離された原告の苦しみを探求すれば、子と引き離されている「親を苦しめる要因の一つは、国内法が子を連れ去った親の権利ばかりを擁護して、子を連れ去られた親の権利を全くといっていいほど無視するという差別待遇」に行きつく(甲9 165頁)。
そして、無責任なシェルター保護の後、「裁判所が同居親と子との経済的生活を保障するために別居親に対して婚姻費用や養育費の支払いを算定表に基づき命じておきながら、面会交流については何らの基準もなしに月1回数時間といった程度に制限することは、子を連れ去られ、引き離されている親に、生活保持義務上の著しい不平等感をもたらし、自死をも引き起こし得る心理的な苦痛を生じさせ」る(甲9 165頁)のである。
(3)児童の権利に関する条約第9条3項には、「締約国は、児童の最善の利益に反する場合を除くほか、父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する。」と定めており(甲10)、被告■■■、城東警察署長及び城東署員、江東区長及び江東区職員の行為がこれに真っ向から反することは明白である。
(4)被告■■■は親権の行使方法を誤っていること
「親権は子どもの利益のために行使することとされていますので、親権者であっても、他方の親と子どもとを会わせたくないという理由だけで子どもを転居するといったことをしてはいけません。」というのは法務省の見解であるが(甲11)、上記児童の権利条約を踏まえて我が国における親権の行使を語ればこのようになるのは当然である。
被告■■■による原告と長男の分離は、自身の怨念の発露以外の何物でもなく、明らかに親権の行使方法を誤っている。
母親の親権は、母親に対する特権的権利を付与するものでは決してなく、かつ、別居親とされる原告への不当な冷遇的措置を合法化するものではない。同居親への特権的権利付与と別居親への不当な冷遇的措置を合法化すれば、別居親においては親として基本的に有する権利を侵害されたと認識し、心理的な対立感情を再燃悪化させ、何ら子ども利益にならないからである。
被告■■■の誤った親権行使を助長し上記不幸を煽ったのが城東警察署長及び城東署員であり、被告江東区である。
(5)被告■■■の行為は長男を巻き込んだ暴力であること
被告■■■は、虚偽のDV申告により原告から長男を取り上げており、このことは、千葉県のホームページによれば「子どもを巻き込んだ暴力」として説明されているものである(甲12 3頁)。
すなわち、被告■■■はむしろ原告に対して暴力を振るっているのであり、これを助長したのが城東警察署長及び城東署員であり被告江東区なのである。
8 結語
よって、原告は、被告■■■に対しては不法行為(民法709条)による損害賠償として、被告東京都及び被告江東区に対しては国家賠償(国家賠償法1条1項)として、被告らに対し、連帯して、金300万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年3分の割合による支払いを求めるものである。
以上
証 拠 方 法
別添証拠説明書記載のとおり
附 属 書 類
1 訴状副本 1通
2 証拠説明書(正本、副本) 各1通
3 甲号証の写し 各2通
4 訴訟委任状 1通